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公開:2026年10月18日/最終更新:2026年10月18日

手汗・足汗が多い人のヨガ|多汗症の研究と、すべるポーズの工夫

5.33%。これが、Fujimoto(2013)の調査で見つかった手のひらの原発性多汗症の割合です。20 の企業や学校で 5〜64 歳に質問票を配り、5807 件の有効な回答を得た結果でした。足の裏は 2.79%、わきは 5.75%、頭は 4.7% で、汗の多い体質は決して珍しくありません。それでも医療機関を受診した人は 6.2% にとどまり、汗の悩みが相談につながりにくいことがわかります。

この記事の要点
  • 多汗症は、汗の量が日常生活に支障を来すほど多い状態を指します。
  • ヨガや温かい部屋と多汗症の関係を直接調べた研究は見つかっていません。
  • ヨガのポーズが多汗症の汗を増やすか減らすか、温かい部屋が症状を悪くするかを調べた研究は見つかっていません。
  • 更衣室で手のひらをタオルに押し当て、袖を通し終えたところで、また汗がにじみます。

手汗・足汗が多い人のヨガ|多汗症の研究と、すべるポーズの工夫

5.33%。これが、Fujimoto(2013)の調査で見つかった手のひらの原発性多汗症の割合です。20 の企業や学校で 5〜64 歳に質問票を配り、5807 件の有効な回答を得た結果でした。足の裏は 2.79%、わきは 5.75%、頭は 4.7% で、汗の多い体質は決して珍しくありません。それでも医療機関を受診した人は 6.2% にとどまり、汗の悩みが相談につながりにくいことがわかります。

ヨガや温かい部屋が多汗症そのものを悪くするかは調べられていませんが、汗でマットが滑る問題は手をつく時間と敷物の工夫で小さくできます。 汗は体温を下げるための正常な反応で、出ること自体は体の働きの一部です。手のひらや足の裏の汗で下向きの犬や板のポーズが滑る、温かい部屋は汗が増えて向かないのか、という疑問に対して、研究から言えることと、研究では答えられないことを分けて書いていきます。

多汗症とは何か、ヨガと関係するのか

多汗症は、汗の量が日常生活に支障を来すほど多い状態を指します。原発性多汗症は、ほかの病気や薬が原因ではない多汗症で、手のひら・足の裏・わき・頭など、汗腺が密集した場所に限って出るのが特徴です。二次性多汗症は、ほかの病気や薬が原因で汗が増えるものをいいます。同じ「汗が多い」でも、原因の探し方が変わってきます。

汗は体温を下げるために出ます。運動をすれば体温が上がり、汗が増えるのは正常な反応です。ヨガのポーズで汗をかくこと自体は、多汗症かどうかとは別の話になります。原発性多汗症の人は、手のひらや足の裏など決まった場所に汗がにじみやすく、運動のときだけ汗が多い人とは区別されます。

Fujimoto(2013)の調査では、手のひらの原発性多汗症が 5.33%、足の裏が 2.79%、わきが 5.75%、頭が 4.7% でした。米国では Doolittle(2016)が多汗症の割合を 4.8%、約 1,530 万人と推計しています。Strutton(2004)の調査でも 2.9% という数字が出ており、日本と米国の調査で数 % の人が該当します。決して特別な体質ではなく、珍しい話ではありません。

ただし、これらの数字は質問票やオンライン調査で本人が「汗が多い」と答えたもので、医師が汗の量を測って診断したものではありません。原発性と二次性の区別も、研究ではカルテの振り返りや質問票の内容から判断されています。数字の大きさを読むときは、その測り方も一緒に見ておきたいです。

研究でわかっていること、受診の少なさと生活の質

ヨガや温かい部屋と多汗症の関係を直接調べた研究は見つかっていません。汗でマットが滑る問題を扱った研究もありません。あるのは、多汗症がどれくらいあるか、受診につながっているか、生活にどう影響するか、という調査研究です。まずはその内容を押さえておきたいです。

Fujimoto(2013)の調査では、多汗症が見つかった人のうち医療機関を受診したのは 6.2% だけでした。Doolittle(2016)の米国の調査では、多汗症と答えた人の 51% が汗について医療者に相談したと答えていました。Strutton(2004)の調査では、医療者に汗のことを話した人は 38% でした。汗の多さが珍しくない一方で、相談につながる人は多くありません。

Henning(2022)は、デンマークの献血者 30,808 人のうち 9.1% が多汗症だと申告したと報告しました。病院で診断された多汗症は、心の面の生活の質の低さと関連していました(調整した係数 -0.91、95% 信頼区間 -1.82〜-0.04)。汗の量そのものが生活の質を下げたという因果までは言えませんが、汗の多さと暮らしにくさが一緒に現れる人はいます。Doolittle(2016)でも、多汗症と答えた人の 70% が、少なくとも一つの部位で重い汗を訴えていました。

こうした研究は、汗の量を本人の申告で測っているものが中心です。Fujimoto(2013)は企業や学校で配った質問票、Doolittle(2016)と Strutton(2004)は調査への回答、Henning(2022)は献血者の申告と診断記録を使っています。汗の量を機械で測った研究ではないので、数字は体感に近いものです。それでも、受診が少ないという方向は三つの調査でそろっています。

ヨガと汗について、研究でわかっていないこと

ヨガのポーズが多汗症の汗を増やすか減らすか、温かい部屋が症状を悪くするかを調べた研究は見つかっていません。汗で手のひらや足の裏が滑って、ポーズが崩れやすいかどうかを測った研究もありません。つまり、ヨガを続けてよいかどうかを研究の結果から決めることはできません。研究から言えるのは、多汗症の人が珍しくないこと、受診が少ないこと、重さに応じた治療の選択肢があることまでです。

代わりに使えるのは、汗と皮膚の一般的な性質です。汗は水を主成分とし、手のひらとマットの間に入ると摩擦を下げます。汗が多いほど滑りやすい、というのは研究の結果ではなく、日常の感覚に近い理屈です。この理屈をもとに、手をつく時間を短くする、手の下に敷くものを変える、といった工夫を考えることになります。

多汗症の研究は、診断の基準や治療の比較が中心で、スポーツやヨガの最中の汗を扱ったものは少ないです。Walling(2011)は診断の手がかりを整理し、Solish(2007)は重症度に応じた治療の流れを提案しています。どちらもヨガのポーズや室温を調べた研究ではありません。ヨガの指導者やスタジオの温度を変えたときに汗がどう変わるかは、これからの課題として残っています。

もう一つ、汗の研究で多いのは「汗が日常生活を妨げているか」を本人に聞く方法です。汗の量を測るより、生活への支障を聞くほうが再現しやすいからだと考えられます。ヨガのクラスで困るかどうかも、汗の量そのものより、滑る・拭く・着替えるといった場面で決まります。研究の外側にあるこうした困りごとを、工夫で一つずつ減らすのが現実的です。

手がすべるポーズの工夫

更衣室で手のひらをタオルに押し当て、袖を通し終えたところで、また汗がにじみます。ヨガマットを広げる前に手のひらを膝にこすりつける、あの数秒です。滑るかどうかを決めるのは汗の量だけでなく、手をつく時間の長さでもあります。だから、汗を完全に止めようとするより、手をつく場面を短く区切るほうが現実的です。

下向きの犬のポーズでは、手のひら全体で床を押し、指先に体重をかけません。手のひらが滑るときは、手の位置を少し手前にずらすと、同じポーズでも体重のかかり方が変わります。板のポーズのように手首を反らして支える形は、手のひらが汗ばむと特に滑りやすいです。前腕を床につける、こぶしで支える、壁に手を当てて行う、といった代わりの形を用意しておくと、ポーズをやめずに続けられます。

手元にタオルを置き、ポーズの合間に手のひらを拭くだけでも違います。マットの上に滑りにくい薄い敷物を重ねる、手の下に小さなタオルを敷く、という方法もあります。ただし、敷物を重ねると厚みで手首の角度が変わるので、痛みが出ないか確かめながら調整します。汗で床が濡れたまま次のポーズに移ると、足の裏も滑るので、マットの周りを一度拭いておきたいです。

これらの工夫は、研究で効果が確かめられたものではありません。汗で滑る問題を測った研究がない以上、自分で試して合う形を選ぶしかありません。それでも、手をつく時間を短くする、拭く、敷物を変える、という三つは、今日のクラスから試せます。転倒が心配な人は、壁の近くで行う、椅子を使う、といった支えを増やす方法もあります。ポーズを諦める前に、順番と支え方を変えてみる価値はあります。

温かい部屋で汗が増えるとき

立川のある溶岩ホットヨガのスタジオでは、室温 35〜40℃・湿度 60〜70% で、溶岩プレートの床の上でレッスンを行います。温かい部屋では体温が上がりやすく、汗は体温を下げるために多く出ます。これは多汗症の人に限らず起こる正常な反応です。汗が増えること自体は、体が熱を逃がそうとしている姿といえます。

温かい部屋で汗が増えるのは体温を下げる正常な働きで、汗が増えたからといって多汗症そのものが悪くなるとは、集めた研究からは言えません。室温や湿度が症状を変えるかを調べた研究は見つかっていません。汗の量が増えれば手が滑りやすくなる可能性はあります。部屋の暑さと症状の重さは、別々に考える必要があります。

滑って転びそうだと感じた日は、常温のクラスに替えるという判断も残しておきたいです。温かい部屋のほうが体が動かしやすいと感じる人もいるので、人によって選び方は違ってかまいません。汗を拭くタオルを多めに持ち、マットの横に置いておくだけでも、慌てずに済みます。体温が上がりすぎたと感じたら、ポーズを止めて涼しい場所に移ります。

クラス前に更衣室で汗を拭いても、レッスンが始まればまた汗が出ます。それでも、手のひらを拭くタイミングを決めておくと、滑る場面を減らせます。休憩のたびにタオルを使い、汗で床が濡れていないか足元も見ます。暑さで頭がぼんやりする、気分が悪くなる、といった変化があれば、その日は早めに切り上げます。

始める前に確かめること

多汗症かどうかは、汗の量だけでなく、いつから、どこに、どんなふうに出るかで見方が変わります。Walling(2011)は大学病院の皮膚科のカルテを振り返り、387 人(93.3%)を原発性、28 人(6.7%)を二次性と分類しました。両者を分ける手がかりを、次の表にまとめました。

手がかり 原発性で多い 二次性で多い
始まった年齢 25 歳以下 25 歳を過ぎてから
出る場所 手のひら・足の裏・わき・頭などに限られる 全身に広がる
左右 左右対称 左右差がある、片側だけ
夜間 夜は出ない 夜も出る

表のうち、左右差がある・夜も出る・25 歳を過ぎて始まった、の三つは、原因を調べるための受診の合図になります。この三つに当てはまる人は、皮膚科で一度見てもらう価値があります。汗で日常生活が妨げられている場合も、重さに応じた治療の選択肢があるので、相談する理由になります。Solish(2007)は、軽い場合はまず外用薬、重い場合は外用薬と注射の治療を第一選択とする流れを示しています。

ヨガを始める前に、持病や飲んでいる薬、けがの経過を指導者に伝えておくと、ポーズの選び方を相談しやすいです。妊娠中かどうかも、伝えておきたい情報です。汗で滑りやすいことを伝えれば、タオルを置く場所やマットの配置を工夫してもらいやすいです。当日は、手を拭くタオルと着替えを多めに用意しておきます。

レッスン中に手が滑ってポーズが崩れたら、無理に戻さず、一度楽な形に戻ります。滑りやすいポーズが続く日は、そのポーズだけ壁の近くで行う、回数を減らす、といった調整でかまいません。汗の量は日によって変わるので、同じクラスでも毎回同じようにはいきません。体調がいつもと違う日は、ポーズを減らす判断も必要です。

よくある質問

手のひらの汗が多いだけで、多汗症と言えますか。

手のひらの汗が多いだけでは、多汗症と決まるわけではありません。汗は体温を下げるために出るもので、暑い部屋や運動のあとに増えるのは自然な反応です。多汗症かどうかは、汗の出る場所や始まった時期、生活への支障を合わせて見ます。汗の量は自分では測りにくいので、いつ、どんな場面で困るかを具体的に皮膚科で話すと、相談が進みます。

温かい部屋のヨガは、多汗症の人に向きませんか。

温かい部屋だから多汗症の人に向かない、と一律に言える研究はありません。室温や湿度が症状を悪くするかを調べた研究が見つかっていないためです。汗が増えて手が滑りやすいと感じるなら、常温のクラスを選ぶ、短い時間のクラスにする、タオルを多めに持つ、といった調整ができます。体が動かしやすいと感じる人もいるので、自分に合うほうを選んでかまいません。

汗でマットが滑るとき、どのポーズを変えればよいですか。

手のひら全体で床を押す下向きの犬や、手首を反らして支える板のポーズは、汗で滑りやすい形です。手の位置を手前にずらす、前腕やこぶしで支える、壁に手を当てる、といった代わりの形にすると、体重のかかり方が変わります。手をつく時間を短くするだけでも滑りにくくなります。滑りやすい日は、そのポーズだけ回数を減らすのも一つの方法です。

皮膚科ではどんな相談ができますか。

皮膚科では、汗の出る場所や量、生活への支障を聞いたうえで、多汗症かどうかを一緒に確かめます。ほかの病気や薬が原因でないかを見るために、追加の質問や検査が必要になることもあります。治療は重さに応じて選び、軽い場合は外用薬、重い場合は注射の治療も選択肢になります。薬の名前や使える範囲は、医師の説明に従ってください。

この記事の限界

測定の面では、ここで引いた研究の多くが、汗の量を本人の申告や質問票で測っています。Fujimoto(2013)は企業や学校で配った質問票、Doolittle(2016)と Strutton(2004)は調査への回答、Henning(2022)は献血者の申告と診断記録を使いました。日本人を対象にした研究は Fujimoto(2013)の質問票調査が中心で、ヨガの最中の汗や滑りやすさを測った日本人のデータは見つかっていません。

ヨガそのものを調べた研究はなく、温かい部屋の湿度や床の材質が汗にどう影響するかも、ここで引いた研究には含まれていません。汗でマットが滑る問題を測った研究もないため、工夫は研究の結果ではなく、汗と摩擦についての一般的な理屈と日常の感覚から組み立てたものであり、皮膚科や処方した医師の判断の代わりにはなりません。

参考文献

  1. Fujimoto ほか. Epidemiological study and considerations of primary focal hyperhidrosis in Japan: from questionnaire analysis. J Dermatol. 2013;40(11):886-890.
  2. Doolittle ほか. Hyperhidrosis: an update on prevalence and severity in the United States. Arch Dermatol Res. 2016;308(10):743-749.
  3. Strutton ほか. US prevalence of hyperhidrosis and impact on individuals with axillary hyperhidrosis: results from a national survey. J Am Acad Dermatol. 2004;51(2):241-248.
  4. Walling ほか. Clinical differentiation of primary from secondary hyperhidrosis. J Am Acad Dermatol. 2011;64(4):690-695.
  5. Henning ほか. The health-related quality of life in hyperhidrosis and co-morbidities. Qual Life Res. 2022;31(8):2331-2340.
  6. Solish ほか. A comprehensive approach to the recognition, diagnosis, and severity-based treatment of focal hyperhidrosis: recommendations of the Canadian Hyperhidrosis Advisory Committee. Dermatol Surg. 2007;33(8):908-923.

足の裏から温まる床の上で、自分の呼吸の速さを一度確かめてみる

  • 向く人: 温かい部屋で汗をかきながら、呼吸に合わせて体をゆっくり動かしたい人
  • 向く人: 流派の名前より先に、暑さの中で自分の体がどう反応するかを知りたい人
  • 向かない人: 妊娠中や心臓・腎臓の持病で、医師から高温の場所での運動を止められている人
  • 向かない人: 暑さで気分が悪くなりやすく、室温の高い部屋そのものを避けたい人

このサイトはオンザショア立川店の運営者が制作しています。オンザショア立川店は立川駅から徒歩1分、溶岩プレートの床で部屋を温めるヨガスタジオです。

オンザショア立川店の溶岩ホットヨガ案内

よくある質問

手のひらの汗が多いだけで、多汗症と言えますか。

手のひらの汗が多いだけでは、多汗症と決まるわけではありません。汗は体温を下げるために出るもので、暑い部屋や運動のあとに増えるのは自然な反応です。多汗症かどうかは、汗の出る場所や始まった時期、生活への支障を合わせて見ます。汗の量は自分では測りにくいので、いつ、どんな場面で困るかを具体的に皮膚科で話すと、相談が進みます。

温かい部屋のヨガは、多汗症の人に向きませんか。

温かい部屋だから多汗症の人に向かない、と一律に言える研究はありません。室温や湿度が症状を悪くするかを調べた研究が見つかっていないためです。汗が増えて手が滑りやすいと感じるなら、常温のクラスを選ぶ、短い時間のクラスにする、タオルを多めに持つ、といった調整ができます。体が動かしやすいと感じる人もいるので、自分に合うほうを選んでかまいません。

汗でマットが滑るとき、どのポーズを変えればよいですか。

手のひら全体で床を押す下向きの犬や、手首を反らして支える板のポーズは、汗で滑りやすい形です。手の位置を手前にずらす、前腕やこぶしで支える、壁に手を当てる、といった代わりの形にすると、体重のかかり方が変わります。手をつく時間を短くするだけでも滑りにくくなります。滑りやすい日は、そのポーズだけ回数を減らすのも一つの方法です。

皮膚科ではどんな相談ができますか。

皮膚科では、汗の出る場所や量、生活への支障を聞いたうえで、多汗症かどうかを一緒に確かめます。ほかの病気や薬が原因でないかを見るために、追加の質問や検査が必要になることもあります。治療は重さに応じて選び、軽い場合は外用薬、重い場合は注射の治療も選択肢になります。薬の名前や使える範囲は、医師の説明に従ってください。