- 人は将来の通う回数を多めに見積もります。補助なしの月額会員の8割が、入会後6か月の通い方なら都度払いより高く払っていました(米国のヘルスクラブ調査)。
- 実質単価=(月額+月額諸費用+初期費用÷継続月数)÷実際の回数です。見積もりの半分くらいの回数でも計算してください。
- まとめ払いの「元を取りたい」気持ちは数か月で薄れます。ただし研究によって結果はそろっていません。
- 通うのをやめてから解約まで平均2.31か月の空白ができます。解約条件は入会前に書面で確認してください。
- 習慣づくりの目安として、新規ジム会員111名の研究では週4回×6週間が最低条件でした(万人共通の条件ではありません)。新規会員の63%は3か月以内に離脱します。
- お金の報酬が終わったあとの効果は、研究によって分かれます。通知や小さなポイントなど54通りの働きかけを比べた研究では、終了後も効果を確認できた働きかけは、54通りのうち8%でした。
人は自分の通う回数を、はっきり多めに見積もる
料金プランを選ぶとき、私たちは「週2回は行くだろう」と考えます。そしてその前提で、通い放題や回数の多いプランを選びます。この見積もりが実際とどれだけずれるのかを、大規模なデータで調べた研究があります。
米国のヘルスクラブ3施設の会員7,752名について、契約の選択と日々の来館記録を3年間追跡した研究です(DellaVigna & Malmendier, 2006, American Economic Review)。経済学の論文ですが、扱っているのはまさにこの問題です。
| 調べたこと | 結果 |
|---|---|
| 月額70ドル超の定額契約を選んだ会員の、実際の来館回数 | 月あたり平均 4.3回 |
| その人たちが実際に払っていた1回あたりの金額 | 17ドル超 |
| 同じ施設で選べた10回券の1回あたり | 10ドル |
| 会員期間を通じて取り逃した節約額 | 平均 600ドル |
つまり、定額プランを選んだ人の多くは、都度払いのほうが安く済む使い方をしていたということです。17ドル超と10ドルを比べれば、1回あたりで見れば7割ほど高く払っていたことになります。
平均だけでなく、対象を分けた結果も見ておきましょう。補助なしの月額会員866人では、入会後6か月の実質単価は平均17.27ドルでした。10ドルを下回った人は2割だけです。残りの8割は、通う回数を変えずに都度払いにしていれば安く済んでいた計算です。別に集計した年額契約の会員でも、初年度の平均は月4.35回・1回あたり15.22ドルで、10ドルを下回ったのは24%にとどまりました。
この研究はまた、月額契約を選んだ人は、年額契約を選んだ人より1年を超えて在籍する確率が17%高かったとも報告しています。高い月額を払うのは「いつでもやめられる」ためのはずなのに、実際にはやめられないまま在籍が続く——その逆説が数字に表れています。
大事なのは、この人たちが不合理だったということではありません。研究の主な解釈は、人は将来の自分の自制心を高く見積もり、通う回数を体系的に多めに見積もるというものです。店員の勧めで契約した影響も否定はできません。
ショッピングモールで48人に聞いた調査では、会員の予想は月9.5回でした。クラブの来館記録全体で見た実際の平均は月4.2回です。48人自身の実際の回数は調べられておらず、別の記録との比較である点には注意が必要です(DellaVigna & Malmendier, 2006, American Economic Review)。契約前の予想だけで決めず、通い始めたら自分の記録でも確かめてください。
まとめ払いと月払いで、通い方は変わるのか
変わる可能性があります。払ってから時間が経つほど、そのお金が「使わなければ」という気持ちに与える力は弱まる、と実験で示されています。研究者はこれを「支払いの減価償却」と呼びます(Gourville & Soman, 1998, Journal of Consumer Research)。
ただ、ザンビアで家庭用の浄水剤を売った野外実験では、異なる結果も出ています。高い値段でも買った家庭ほどよく使っていましたが、それはもともと使う家庭が選んで買っていたためです。払ったこと自体が使う量を増やす効果は、はっきりしませんでした(Ashraf et al., 2010, American Economic Review)。運動施設とは対象も違い、結果はそろっていません。「多く払えば通うはず」と決めつけず、無理なく通える回数を基に選んでください。
古典的な実験では、劇場のシーズン券を買いに来た人を対象にしました。並んだ順で、割引をくじのように割り当てました。定価15ドルで買った人、2ドル引きの13ドルの人、7ドル引きの8ドルの人が、中身は同じ券を持ちました。結果、シーズン前半の5演目の観劇回数は、割引なし4.11回、2ドル引き3.32回、7ドル引き3.29回で、定価組だけがやや多く観劇しました。ただし54人の小さな実験で、偶然でも起こりうる程度のぎりぎりの差でした。後半の5演目では差が消え、購入から6か月を過ぎるとこの力は見えなくなりました(Arkes & Blumer, 1985, Organizational Behavior and Human Decision Processes)。
ジムの記録でも、月額会員の来館は在籍2か月目の月5.46回から6か月目の月4.32回へと下がっていました。下がる理由までは分析されていません(DellaVigna & Malmendier, 2006, American Economic Review)。
ここから言えることは2つあります。1つ目は、年払いや大きな回数券は「最初の数週間で元を取りに行く」設計には向かない、ということです。支払いの重みが薄れる数か月後に備えて、通う日を週ごとに固定するなどの仕掛けは、最初に済ませておくほうがよいでしょう。2つ目は、月払いでも、来館だけが先に細って自動継続が残る形は起こりうる、ということです。この点は後の「解約条件」の節で扱います。
だから、比べるべきは月額ではない
月額の安さを比べても、実際の負担は分かりません。次の式で実質単価を出してください。
実質単価 =(月額 + 月ごとの諸費用 + 初期費用 ÷ 想定継続月数)÷ 実際に通う回数
分母の「実際に通う回数」を、希望ではなく予想として入れるのがこの式の要点です。そして先ほどの研究が示すとおり、その予想は多めに出がちです。自分の見積もりと、その半分くらいの回数の両方で計算してみてください。
たとえば月額15,000円のプランで、週2回(月8回)通うつもりなら実質1,875円です。しかし実際が月5回だったら3,000円になります。都度払いが1回3,500円なら差はほとんどありません。この差を入会前に知っているかどうかが分かれ目です。
1回あたりで考えるか、月額で考えるか
同じ支出でも、計算の単位を変えると見え方が変わります。人はお金を1つの大きな勘定ではなく、用途ごとの小さな「心の会計」に分けて採算を取っています。買い物は「そのものの価値」と「取引としてのお得感」に分かれ、家計は予算ごとに管理されます。こうした頭の仕組みを定式化したのが、行動経済学の出発点の1つです(Thaler, 1985, Marketing Science)。
月額を支払うと「この月、通わなければ損」という勘定が立ち上がります。これは通う動機として有効ですが、同時に「使い切れなかった月は損が確定する」という構造でもあります。1回あたりで考える都度払いには「月の損」が発生せず、通った分だけの採算になります。定額を続けるかどうかは、結局「通わなかった月をどう感じるか」の問題でもあるのです。
一方で、都度払いは1回ごとに「お金が出ていく」痛みを伴います。その痛みを差し引いても定額のほうが得な人は確かにいますし、請求の回数を気にせず予約できる気楽さにも価値があります。従量制のほうが安いのに定額を選ぶ人は多く、これを「定額バイアス」と呼びます。背景には、回数の見積もり違い、使うたびに料金が増える不快さ、出費が一定になる安心感があります。ただし、定額を選んだ人が解約しやすくなるわけではありませんでした(Lambrecht & Skiera, 2006, Journal of Marketing Research)。先ほどの8割の話を、自分の記録と突き合わせてください。
結論として、月額で考えるか1回あたりで考えるかに正解はありません。大事なのは、自分の回数を希望ではなく記録で見ることと、「通わない月」の損を支払い続けるリスクを、契約前に価格に換算して見ることの2点です。
月額以外にかかるもの
「月ごとの諸費用」に入れ忘れやすい項目を挙げます。ひとつひとつは小さくても、合計すると月に数千円になります。
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| 入会金・登録料・事務手数料 | キャンペーンの適用条件。無料になる代わりに最低契約期間が付いていないか |
| 月ごとの施設維持費 | 月額とは別に毎月かかる固定費があるか |
| マット・タオルのレンタル | 毎回借りると月に数千円。持ち込み可否と、持ち込む場合の手間 |
| 水・ドリンク | 持ち込み可か。館内購入が必要なら1回あたり数百円 |
| 専用品 | グリップソックスなど着用が必須の物品があるか |
| ウェアのクリーニング | 発汗量が多い種目では洗濯の回数が増える |
| 休会費 | 休む月にも費用がかかるか。かかるならいくらか |
初期費用(入会金・登録料)は、通う予定の月数で割って月額に足して考えてください。3か月でやめるつもりなら、入会金20,000円は月あたり6,667円の上乗せです。12か月続けるなら1,667円です。同じ金額でも意味が変わります。
解約条件は、入会前にしか確認できない
実質単価と同じくらい重要なのが、やめ方です。次の4点を、契約する前に確認してください。
- いつまでに申し出れば止まるのか(前月の何日までか)
- どこに申し出るのか(店頭のみか、Webでできるか)
- どうやって申し出るのか(書面が必要か、対面での引き止めがあるか)
- いつから止まるのか(申し出た翌月か、翌々月か)
入会後に確認しようとすると、たいてい間に合いません。また、休会と退会は別の手続きであることが多く、休会のつもりで手続きして会費が発生し続ける、ということが起こります。
研究データは「やめどきが遅れる」を数字でも示しています。米国のヘルスクラブの月額会員では、実際に通うのをやめた日から契約を解約する日まで、平均で2.31か月の空白があり、その間の会費は187ドルにのぼりました。この空白が4か月以上続いた人も2割います(DellaVigna & Malmendier, 2006, American Economic Review)。「いつか行くかもしれない」という気持ちが、そのまま請求に変わる構造です。
日本の公的機関の集計も同じ方向を示しています。国民生活センターに寄せられるスポーツジム・フィットネスクラブ・ヨガ教室などに関する相談は、2013年度の2,894件から増え続け、2017年度は3,552件でした(国民生活センター, 2018)。2020年度にはコロナ禍の退会・休会の相談で7,317件まで増え、2022年度は4,617件でした。2023年度は12月31日までで3,796件と、前年同期(3,249件)を上回っていました(国民生活センター, 2024)。
相談の中身は、利用開始前の解約に違約金を請求された、解約したはずなのに引き落としが続いた、お試し期間のあと自動更新されていた、というものが並んでいます。相談者は2022年度で女性が約7割、年代は40歳代が最も多く、金額が分かる相談では、1万円以上5万円未満が最も多い897件(19.4%)でした(国民生活センター, 2024)。誰にでも起こりうる話として扱うべき数字です。
トラブルを避ける行動は単純です。解約の基礎情報(締め日・申し出方法・停止月)を契約前に書面で確認し、解約を申し出たら引き落としが実際に止まったかを明細で1回確認してください。口頭の「承りました」で終わらせないことが、研究が示す「支払いの空白」を防ぐ方法です。
お金で通う習慣は作れるのか
キャッシュバックや達成報酬が付いたプランを見るときは、報酬が終わったあとに何回通うかで実質単価を計算してください。研究を並べると、お金は「始める」助けになることが多い一方、「続ける」効果は研究によって分かれます。
最初に見ておきたいのは、新規会員690人をくじで組に分けた実験です。一方の組は無条件で30ドルをもらい、他の組には入会後6週間に9回来館する条件がありました。条件付きの報酬は、30ドルか60ドルのお金、または30ドル相当の品物です。3種類とも初期の来館をわずかにしか増やせず、報酬が終わった後の来館回数の変化には影響しませんでした(Carrera et al., 2018, Journal of Health Economics)。新規会員は自分の来館を多めに見積もっていることも確認されました。報酬の条件を達成したあとも、無理なく払える料金かを確かめてください。
次は職場での実験です。4週間の報酬プログラムだけでは、行動に残る変化は小さいものでした。ただ、報酬の最後に、自分のお金を預けて守れなければ失う「約束の契約」を選べるようにした組では、報酬が終わってから数年後まで変化が残りました(Royer et al., 2015, American Economic Journal: Applied Economics)。報酬だけで終えるより、最後に自分で約束を結べる仕組みを添えたほうが、変化は長く残ったという結果です。料金を比べるときは、報酬後にも通い続けられる仕組みがあるかを見てください。
前向きな結果もあります。ジムへの来館に1か月お金を支払う実験では、報酬がなくなってからも、報酬を受けない組より来館が増えました。増えたのはもともと定期的に通っていなかった人で、2番目の研究では体重・ウエスト・脈拍などの健康指標も改善しました(Charness & Gneezy, 2009, Econometrica)。ジムへの来館報酬の別の実験でも、報酬が終わったあとの来館が増えています(Acland & Levy, 2015, Management Science)。ただし、この研究の参加者は自分の将来の来館を大きく多めに予測していました。効果が続く例もありますが、自分にも当てはまるかは記録を見て判断してください。
米国のフィットネスチェーン会員61,293人を対象に、54通りの働きかけを比べた研究もあります。30人の研究者が小さなチームに分かれて、スマホへの通知や小さなポイントなど、4週間の案を作りました。同じ会員の集団で、多数の案を一度に比べた大規模な実験です。
54通りのうち45%は、週の来館を9%〜27%増やしました。働きかけが終わっても効果を確認できたのは8%だけでした(Milkman et al., 2021, Nature)。ただし、効果のあった働きかけに限れば、終了後にも過去の研究と同じ程度の効果の持ち越しは見られました。通知などを使う場合も、それが終わったあとの通い方まで考えておきましょう。
お金の報酬は、終わると効果が消えることが多いとされる一方で(Royer et al., 2015)、終わったあとも来館が増えた実験もあり、結果は分かれています。通知や小さなポイントなどの働きかけ全般を比べた大規模な研究でも、終了後まで効果が残ったものは少数でした。報酬の有無に加えて、通いやすさやレッスンの好みも考えて選んでください。確認する項目は、スタジオの選び方も参考にしてください。
最初の数か月は、回数を読めなくて当たり前
ここまでの話は「実際に通う回数が分かっていれば」成り立ちます。しかし始める前には分かりません。しかも、運動が習慣になるまでには時間がかかります。新規ジム会員111名を12週間追跡した研究では、運動習慣が成立する最低条件は週4回以上を6週間続けることでした。習慣化を予測した要因は、行動の一貫性、単純さ、環境、感情評価の順で、いずれも小さめの効果でした(Kaushal & Rhodes, 2015, Journal of Behavioral Medicine)。
別の研究では、離脱の早さも記録されています。リオデジャネイロのフィットネスセンター会員5,240人分の記録を追跡した研究では、新規会員の63%が3か月以内に通うのをやめ、12か月を超えて継続したのは4%未満でした(Sperandei et al., 2016, Journal of Science and Medicine in Sport)。最初の数か月でペースを落とすのは例外ではなく、過半数の人の行動なのです。
つまり最初の1〜2か月は、通う回数が安定していない時期です。この時期の実績で長期プランを決めるのも、始める前の希望で決めるのも、どちらも当てになりにくいです。現実的な進め方は次のようになります。
- 最初は短い契約か回数券から始める。いきなり長期の割引プランに入らない。割引率より、読み違えたときの損失のほうが大きくなりがちです。
- 1〜2か月、実際の回数を記録する。記憶ではなく記録で見ます。予約履歴を数えるだけで十分です。
- その実測値で計算し直してからプランを変える。多くのスタジオはプラン変更ができます。最初から最適である必要はありません。
なお、通う頻度そのものをどう考えるかは、目的によって変わります。ホットヨガの場合は暑さへの慣れという別の要因もあるため、ホットヨガとは何かで扱っています。続けられるかどうかを左右する要因はスタジオの選び方にまとめました。
この記事の限界
- 引用した研究の多くは、2000年代の米国のヘルスクラブやジムのデータです。日本のヨガ・ピラティススタジオを直接調べたものではありません。金額をそのまま当てはめることはできません。使えるのは「人は通う回数を多めに見積もる」「支払いの重みは時間とともに薄れることがある」という構造のほうです。
- 平均の話であって、あなたの話ではありません。実際に週3回通い続ける人もいます。だからこそ、希望ではなく記録で判断することを勧めています。
- 定額プランには金額以外の価値もあります。「元を取ろう」と思うことが通う動機になる人もいますし、回数を気にせず予約できる気楽さもあります。定額バイアスの研究が扱ったのも通信料金などのデータで、フィットネス限定の分析ではありません。ここで扱ったのは金額だけの比較です。
- 報酬や通知などの働きかけを調べた研究は、対象や方法がそれぞれ違います。職場の従業員、新規会員、チェーン会員など、特定の集団での結果です。報酬が終わったあとの効果も研究によって分かれます。報酬額を大きくすれば長く続くかどうかは、この記事の資料だけでは分かりません。
- 国民生活センターの相談件数は「相談が寄せられた件数」です。契約全体のトラブル率や、実際の被害の全数ではありません。件数は、制度改正や周知、相談のしやすさなど、トラブルそのもの以外の要因でも増減しえます。
- 本文中の計算例は、説明のために置いた仮の数字です。特定のスタジオの料金ではありません。
出典
- DellaVigna, S. & Malmendier, U. (2006). Paying Not to Go to the Gym. American Economic Review. doi:10.1257/aer.96.3.694
- Gourville, J. T. & Soman, D. (1998). Payment Depreciation: The Behavioral Effects of Temporally Separating Payments from Consumption. Journal of Consumer Research. doi:10.1086/209533
- Ashraf, N., Berry, J. & Shapiro, J. (2010). Can Higher Prices Stimulate Product Use? Evidence from a Field Experiment in Zambia. American Economic Review. doi:10.1257/aer.100.5.2383
- Arkes, H. & Blumer, C. (1985). The psychology of sunk cost. Organizational Behavior and Human Decision Processes. doi:10.1016/0749-5978(85)90049-4
- Thaler, R. (1985). Mental Accounting and Consumer Choice. Marketing Science. doi:10.1287/mksc.4.3.199
- Lambrecht, A. & Skiera, B. (2006). Paying Too Much and Being Happy about It: Existence, Causes, and Consequences of Tariff-Choice Biases. Journal of Marketing Research. doi:10.1509/jmkr.43.2.212
- Charness, G. & Gneezy, U. (2009). Incentives to Exercise. Econometrica. doi:10.3982/ECTA7416
- Acland, D. & Levy, M. R. (2015). Naiveté, Projection Bias, and Habit Formation in Gym Attendance. Management Science. doi:10.1287/mnsc.2014.2091
- Royer, H. et al. (2015). Incentives, Commitments, and Habit Formation in Exercise: Evidence from a Field Experiment with Workers at a Fortune-500 Company. American Economic Journal: Applied Economics. doi:10.1257/app.20130327
- Carrera, M. et al. (2018). Can financial incentives help people trying to establish new habits? Experimental evidence with new gym members. Journal of Health Economics. doi:10.1016/j.jhealeco.2018.02.010
- Milkman, K. L. et al. (2021). Megastudies improve the impact of applied behavioural science. Nature. doi:10.1038/s41586-021-04128-4
- Kaushal, N. & Rhodes, R. E. (2015). Exercise habit formation in new gym members: a longitudinal study. Journal of Behavioral Medicine. doi:10.1007/s10865-015-9640-7
- Sperandei, S. et al. (2016). Adherence to physical activity in an unsupervised setting: Explanatory variables for high attrition rates among fitness center members. Journal of Science and Medicine in Sport. doi:10.1016/j.jsams.2015.12.522
- 国民生活センター (2018). 「解約できない」、「解約料が高額」など、スポーツジム等での契約トラブルにご注意!. 国民生活センターの公表ページ(2018年10月11日)
- 国民生活センター (2024). スポーツジム等の契約トラブルにあわないために-契約・解約時に確認したいポイント-. 国民生活センターの公表ページと報告書(2024年1月24日)
運営者のスタジオの公式情報(利害関係の開示):運営者のスタジオ、オンザショア立川店の料金は、公式サイトの料金のページが正です。この記事の実質単価の式に、その額と、自分が本当に通える回数を入れて計算してみてください。月会費を1回あたりに直した表はオンザショア立川店の紹介にあります。
この記事のまとめ
- 人は将来の通う回数を多めに見積もります。米国のヘルスクラブの調査では、補助なしの月額会員の8割が、入会後6か月の通い方なら都度払いのほうが安く済んでいました。比べるのは月額ではなく実質単価です。
- 実質単価=(月額+月額諸費用+初期費用÷継続月数)÷実際の回数です。見積もりの半分くらいの回数でも計算してみてください。
- まとめ払いの「元を取りたい」気持ちは数か月で薄れるという実験があります。一方、払ったこと自体が利用を増やす効果がはっきりしない実験もあります。年払い・回数券は「最初に元を取る」つもりで選ばないようにしましょう。
- 「払ったのに通わない」空白は平均2.31か月です。解約の締め日・方法・停止月は入会前に書面で確認し、解約後は引き落としを1回確かめてください。
- 習慣づくりの目安として、新規ジム会員111名の研究では週4回×6週間が最低条件でした(万人共通の条件ではありません)。新規会員の63%は3か月以内にやめます。最初は短い契約で試し、記録で計算し直してください。
- お金の報酬が終わったあとの効果は、研究によって分かれます。通知や小さなポイントなど54通りの働きかけを比べた研究では、終了後も効果を確認できた働きかけは、54通りのうち8%でした。報酬が終わったあとの回数でも、実質単価を計算してください。
よくある質問
定額プランと回数券・都度払い、どちらがお得ですか?
実際に通う回数次第です。米国のヘルスクラブの調査では、補助なしの月額会員の8割が、入会後6か月の通い方なら都度払いのほうが安く済んでいました(DellaVigna & Malmendier, 2006)。まず自分の予想より少ない回数でも、実質単価を比べてください。
実質単価はどう計算すればよいですか?
(月額+月額諸費用+初期費用÷想定継続月数)÷実際に通う回数、です。人は通う回数を多めに見積もる傾向があるので、希望どおりの回数と、その半分くらいの回数の両方で計算してみてください(DellaVigna & Malmendier, 2006)。
まとめ払い(年払い)のプランは避けたほうがよいですか?
一概にそうではありません。「元を取りたい」気持ちは支払いから数か月で薄れるという実験があります(Gourville & Soman, 1998)。劇場のシーズン券実験でも、定価で買った人がやや多く観劇した差は約6か月で見られなくなりました(Arkes & Blumer, 1985)。最初に元を取るつもりで選ばず、通い続けられる回数で比べてください。ただし、ザンビアの家庭用浄水剤の実験では、払ったこと自体が使う量を増やす効果ははっきりしませんでした(Ashraf et al., 2010)。
新規会員はどのくらいの期間で通わなくなりますか?
ブラジルのフィットネスセンター5,240人分の記録では、新規会員の63%が3か月以内に通うのをやめ、12か月を超えて継続したのは4%未満でした(Sperandei et al., 2016)。週4回×6週間が運動習慣の最低条件という研究もあります(Kaushal & Rhodes, 2015)。最初の数か月でペースを落とすのは珍しいことではありません。
スポーツジム・ヨガ教室の解約トラブルはどのくらい起こっていますか?
国民生活センターに寄せられる相談は、2013年度の2,894件から増え続け、2020年度は7,317件、2022年度は4,617件でした(国民生活センター, 2018, 2024)。利用開始前の解約への違約金、解約後の引き落とし継続、お試し期間後の自動更新が典型例です。解約の締め日・申し出方法・停止月は、入会前に書面で確認してください。