- 乾癬では免疫の働きに関わる炎症が皮膚に続き、赤みや厚み、はがれやすさなどが現れます。
- Kabat-Zinn(1998)が調べたのは、中等度から重度の乾癬で光線療法を受けている人が、治療中に瞑想の音声を聞く方法です。
- Naldi(2014)は、全身に作用する治療を受けていて、症状が活動性の状態にある過体重または肥満の人を対象にしました。
- Frankel(2012)は、米国の女性看護師86,655人を対象に、身体活動と乾癬の新たな発症との関連を調べました。
乾癬とヨガ|皮膚の病気とストレスの研究、汗をかくと悪くなる人
ストレスが続くと乾癬の赤みが気になるとき、ヨガで気持ちを落ち着けたり、温かい部屋で汗をかいたりすると皮膚にもよいのでしょうか。乾癬がある人のヨガは、治療を続けながら気分転換や運動の機会として考え、汗でしみる人は暑さを避けるのが出発点です。 浴室で汗を流したあと、ひじの赤い部分をタオルで拭くとひりつくなら、気持ちよく動けたかと皮膚に刺激が残ったかを分けて振り返れます。汗の量を増やすことより、動いたあとも皮膚を穏やかに保てる条件を探すことが大切です。
乾癬は、皮膚が赤く盛り上がり、その上の銀白色のかさぶた状のものがはがれる慢性の病気です。人から人へうつる病気ではなく、皮膚の見た目だけで運動への参加を遠慮する必要はありません。一方で、かゆみや痛み、人目への心配は、その日の過ごしやすさに関わります。研究を読むときも、皮膚の変化と暮らしの負担の両方に目を向けると、自分が何を楽にしたいのかがはっきりします。
皮膚の広さと暮らしのつらさは別に見る
乾癬では免疫の働きに関わる炎症が皮膚に続き、赤みや厚み、はがれやすさなどが現れます。白く見える部分は、医学では鱗屑と呼ぶ、皮膚の表面の角質です。汚れを落とすつもりでこすったり、はがれる部分を無理に取ったりするよりも、刺激を増やさずに手入れすることを優先します。ヨガを選ぶときにも、ポーズの完成形だけでなく、ひじや膝、背中が床や衣服にどう触れるかが実用的な判断材料になります。
Fortune(1997)は、乾癬のある人の生活の質について、皮疹の広さよりも、病気に伴うストレスや人目への心配との関係を報告しました。生活の質とは、病気がある中で、仕事や休息、人との関わりをどれくらい支障なく送れるかという面を含む考え方です。皮疹は、赤みや盛り上がりなど、皮膚に現れた変化を指します。面積が小さくても、見られることが気になって着替えをためらうなら、その負担も診察で話してよい内容です。
この研究を手掛かりにすると、運動の目標は皮膚の見た目だけに置かずに考えられます。衣服の選び方を気にせず動きたい、人と比べず休みたい、緊張から離れる時間を持ちたい、といった希望も目標になります。家族が付き添う場合は、赤みが減ったかだけを尋ねるより、何が気になって参加しにくいかを聞くと、具体的な助けにつながります。皮膚の負担を言葉にすることもケアです。
ストレスの話をする際は、本人の考え方や努力の問題に置き換えないことも大切です。皮膚の症状があるために気が休まらず、人目への心配が増えるという向きもあります。気持ちを落ち着ける工夫と、炎症に対する治療を並べて進めると、片方だけに責任を負わせずに済みます。運動を休んだ日に自分を責める必要もなく、その日の皮膚に合わせて予定を変えられる環境が役立ちます。
瞑想の研究は光線療法と組み合わせたもの
Kabat-Zinn(1998)が調べたのは、中等度から重度の乾癬で光線療法を受けている人が、治療中に瞑想の音声を聞く方法です。光線療法は医療機関で紫外線を使う治療で、照射方法や量を管理して行います。マインドフルネス瞑想は、そのときの呼吸や体の感覚などに注意を向ける練習です。試験では、音声を聞く条件と聞かない条件を比べ、皮膚の状態が変化していく速さを調べました。
結果は、音声を聞いた群のほうが、皮疹の改善の中間点や消失の評価点へ速く到達したというものでした。これは、治療の場面に短い瞑想を組み合わせることを考える手掛かりになります。少人数を対象とした試験で、日常の動作の種類よりも治療中の過ごし方に焦点が置かれています。研究の中心にある組み合わせは、医療としての光線療法と、その最中に行う注意の向け方の練習です。
「瞑想を加えた」という部分を覚えておくと、暮らしへの取り入れ方も整理できます。薬や通院の予定を保ちながら、落ち着いて過ごせる時間を用意するという考え方です。自分で行うなら、楽な姿勢で自然な呼吸に注意を向け、緊張や不快感が強まるときは切り上げます。呼吸を深くしようと力んだり、集中できないことを失敗と受け取ったりする必要はありません。
ヨガの時間にも、体を動かす部分、静かに休む部分、呼吸を意識する部分があります。静かに過ごしたい人は、その希望を指導者へ伝え、途中で座って休めるかを確かめると選びやすくなります。暑さが気になる場合は、室温を上げない環境で同じ目的を満たせるかを考えます。心地よかったという感覚は大切にしつつ、皮膚の変化は通院時の評価や日常の記録と合わせて見ていきます。
食事と運動の試験で変わった重症度
Naldi(2014)は、全身に作用する治療を受けていて、症状が活動性の状態にある過体重または肥満の人を対象にしました。食事への働きかけと運動を増やす取り組みを20週行う群と、情報提供だけの群を比べた無作為化試験です。無作為化とは、参加者を偶然に基づいて群に分け、もとの条件の偏りを減らす方法です。体重が気になる人の生活習慣を、乾癬の治療と並行して見直す場面に対応する研究といえます。
評価に使われたPASIは、乾癬の皮疹の広さや赤み、厚みなどをまとめて点数にする重症度の指標です。開始時からのPASIの低下率の中央値は、食事と運動に取り組む群で48%、情報提供だけの群で25.5%でした。それぞれの95%信頼区間は33.3-58.3%と18.2-33.3%で、信頼区間は結果の推定に伴う不確かさの幅を表します。中央値は結果を順に並べたときの中央の値であり、参加者全員が同じ割合で改善したという意味ではありません。
この比較では、皮膚の重症度が下がったことが重要な結果です。食事と運動を組み合わせて、もとの治療に加えている点も、生活への取り入れ方を考える際の中心になります。体重や食事が気になる人は、今の治療に加えて何を変えるかを、皮膚科や栄養相談の場で話し合えます。たくさん汗を出すことを目標にするよりも、食事の調整と続けやすい運動を一緒に計画するほうが、この試験の内容に沿っています。
取り組みを続けるには、皮膚の調子が悪い日にも選べる代わりの過ごし方を用意すると便利です。床に触れる動きがつらいなら立った姿勢や椅子を使う動きに替え、動くこと自体が負担なら休息と治療を優先します。食事の見直しについても、自分だけで極端な制限を始めず、体格や治療の状況に合う方法を相談します。続けた日数だけで評価せず、負担なく暮らしに収まっているかも振り返ると、調整する点が見つかります。
発症との関連と治療中の改善を区別する
Frankel(2012)は、米国の女性看護師86,655人を対象に、身体活動と乾癬の新たな発症との関連を調べました。観察研究という、研究者が運動を割り当てるのではなく、参加者の活動や病気の発生を追う方法です。結論は、激しい身体活動をしている女性ほど、その後の乾癬の発症が少ないことと関連していた、というものでした。すでに症状がある人の皮疹が、運動後にどう変わるかを調べた試験とは問いが異なります。
観察研究では、運動習慣と一緒に食事や体調、生活環境なども異なり得るため、運動が発症を減らしたという因果関係は確定しません。この違いは、研究結果から日々の行動を決めるときに重要です。現在の皮膚が汗でしみる人は、強度を上げることより、その刺激を避けて動ける条件を優先します。研究で使われた「激しい身体活動」と、部屋の温度を高くすることも別の条件です。
ここまでの研究は、比べた相手も、測った結果も異なります。瞑想は光線療法中の皮膚の改善、食事と運動は治療中の重症度、観察研究は新たな発症を扱っています。自分の目的に近い研究を読むために、何を加え、何を測ったかを表で見比べてみましょう。
| 研究 | 対象と比較 | 見ていた結果 | 生活で考える場面 |
|---|---|---|---|
| Kabat-Zinn(1998) | 光線療法中に瞑想の音声を聞く群と聞かない群 | 皮疹の改善の評価点に達する速さ | 治療中に落ち着いて過ごす工夫 |
| Naldi(2014) | 治療中の過体重・肥満の人で、食事と運動の取り組みと情報提供 | 20週での乾癬の重症度の変化 | 治療と並行した生活習慣の相談 |
| Frankel(2012) | 女性の身体活動の違いを観察 | 新たな乾癬の発症との関連 | 発症前の生活習慣についての理解 |
| Fortune(1997) | 乾癬の症状やストレスなどと生活の質の関係 | 暮らしの負担との関連 | 人目への心配も含めた相談 |
汗でしみる日は暑さと摩擦を減らす
ここからは、研究で比べた効果とは別に、皮膚への刺激を減らすための一般的な注意です。乾癬のある人の中には、汗や衣服とのこすれがかゆみやひりつきにつながる人がいます。汗をかいたら早めにやさしく流し、こすらずに水分を押さえて、普段使っている保湿剤で手入れします。熱い湯で洗い続けることや、タオルで強く拭くことは避けます。
暑い場所に入るとすぐかゆくなる人、汗が皮疹にしみる人、ひび割れや出血がある人には、温度の高い部屋でのヨガを勧めません。涼しく過ごせる環境を選び、痛みが出た動きをその場でやめられるようにします。マットにひじや膝を押し付ける動きでは、皮膚を引きずらないことも大切です。敷物を足す場合も、柔らかさだけでなく滑らないかを確かめ、接触そのものがつらければ姿勢を替えます。
準備をするときは、皮疹の位置に当たる衣服の縫い目や締め付けを見ておくと役立ちます。動くと布が引っ張られる場所や、汗で湿った布が貼り付く場所は、途中でも調整します。自分のタオルを用意し、汗を流せる場所と着替える余裕を予定に入れておくと、終了後の手入れが慌ただしくなりません。家で動く場合も、運動だけを終点にせず、その後の皮膚の手入れまで含めて考えます。
記録は、長い文章にする必要はなく、動いた場所の暑さ、汗のしみ方、床と触れた場所、あとに残ったかゆみを短く書く方法で十分です。治療を変えた時期や、睡眠の乱れなども添えると、診察で状況を伝えやすくなります。運動の直後の爽快感と、その後の皮膚の不快感は、どちらも記録に残します。似た条件でつらさが繰り返される場合は、我慢して慣らそうとせず、環境や動き方を見直します。
薬を使う人が始める前に伝えること
乾癬の治療には塗り薬のほか、飲み薬や注射などもあり、運動の相談では今使っている薬を伝えることが大切です。生物学的製剤は、炎症に関わる特定の物質などに働きかける薬です。こうした治療中の人は、感染への注意や、発熱などがある日にどうするかを主治医に尋ねておきます。運動の予定に合わせて、薬の量や使用間隔を自分で変えることは避けます。
乾癬自体はうつらないことと、薬を使う人が感染に注意することは、区別して考えます。周囲の人へ乾癬が広がる心配を理由に、自分を隔離する必要はありません。一方で、発熱や傷の膿、広がる赤みなどがある場合は、練習を休んで医療機関へ連絡します。皮膚が急に広い範囲で赤くなり、全身の具合も悪いときは、いつもの変化として待たず、速やかに受診することが大切です。
指導者には病歴をすべて詳しく話すより、動くうえで必要な配慮を具体的に伝えると相談が進みます。たとえば、膝を床につけると皮膚が痛むこと、汗がしみたら途中で退出したいこと、手で押して姿勢を調整されると困る場所があることです。本人が伝えたい範囲を決め、家族が代わりに説明するときもその意向を尊重します。休む姿勢や別の動きをあらかじめ選べると、周囲に合わせて無理を重ねずに済みます。
また、皮膚だけでなく関節に痛みや腫れがある場合は、ヨガの柔軟性の問題として扱わず、皮膚科で相談します。ポーズを深くすれば解決すると考えず、どこがいつ痛むかを伝えることが先です。参加する日の判断は、赤みの見た目だけでなく、触れる痛み、動く痛み、体調を合わせて行います。治療を続けやすく、途中でやめる選択もできることを、運動の条件に含めます。
よくある質問
気分が落ち着いたら薬を減らしてもよいですか
薬の調整は、皮膚の状態や治療の経過を見て主治医と決めます。Kabat-Zinn(1998)の試験も、光線療法を受けながら瞑想の音声を加える組み合わせで、治療を保った中での変化を見ています。気持ちが楽になったことは、運動を続ける際の大切な感想として伝えられます。診察では、気分の変化と皮膚の赤みやかゆみの変化を別々に話すと、今後の治療について相談しやすくなります。
汗をかくのが心配なら、運動を全部やめるべきですか
汗で刺激が出る場合は、まず室温や衣服、動きの強さを調整する方法があります。乾癬という病名だけで決めず、実際にどこがしみるか、何に触れると痛むかを確かめます。静かに呼吸へ注意を向ける時間や、皮疹を床に押し付けない動きも選択肢です。休んでも痛みが残るときや悪化が続くときは、参加を再開する前に皮膚の状態を診てもらいます。
白い皮膚が落ちるのが気になり、人前で動けません
乾癬はうつる病気ではなく、白い鱗屑が落ちることを本人の不潔さと結び付ける必要はありません。人目が気になるという負担は、Fortune(1997)が扱った生活の質にも関わる相談内容です。自宅で過ごす時間を選ぶ、衣服を替える場所を事前に確かめるなど、自分が安心できる条件を決められます。家族や指導者には、励ます前に何を手伝ってほしいかを聞いてもらうと、希望を伝えやすくなります。
この記事の限界
比較した条件は、光線療法への瞑想の追加、治療中の過体重・肥満の人への食事と運動、米国女性の身体活動などにわかれ、乾癬に対するヨガそのものの試験は今回参照した研究群には見当たりません。少人数の瞑想試験や20週の生活習慣の試験から、長期に続けるヨガや高温環境の効果・安全性をそのまま当てはめられず、研究の対象と日常の練習には隔たりがあります。
本稿は研究を読むための一般的な説明で、個人の診断や治療方針を決める医療の助言に代わるものではありません。発熱を伴う急な皮膚の悪化や関節の腫れ・痛みは医療機関へ相談し、日々の運動は治療と両立する、皮膚への刺激の少ない条件から選びます。汗やこすれが皮膚にしみる日は、どの動きを休み、どんな環境に変えますか。
参考文献
- Kabat-Zinn ほか. Influence of a mindfulness meditation-based stress reduction intervention on rates of skin clearing in patients with moderate to severe psoriasis undergoing phototherapy (UVB) and photochemotherapy (PUVA). Psychosom Med. 1998;60(5):625-632.
- Naldi ほか. Diet and physical exercise in psoriasis: a randomized controlled trial. Br J Dermatol. 2014;170(3):634-642.
- Frankel ほか. The association between physical activity and the risk of incident psoriasis. Arch Dermatol. 2012;148(8):918-924.
- Fortune ほか. Quality of life in patients with psoriasis: the contribution of clinical variables and psoriasis-specific stress. Br J Dermatol. 1997;137(5):755-760.
足の裏から温まる床の上で、自分の呼吸の速さを一度確かめてみる
- 向く人: 温かい部屋で汗をかきながら、呼吸に合わせて体をゆっくり動かしたい人
- 向く人: 流派の名前より先に、暑さの中で自分の体がどう反応するかを知りたい人
- 向かない人: 妊娠中や心臓・腎臓の持病で、医師から高温の場所での運動を止められている人
- 向かない人: 暑さで気分が悪くなりやすく、室温の高い部屋そのものを避けたい人
このサイトはオンザショア立川店の運営者が制作しています。オンザショア立川店は立川駅から徒歩1分、溶岩プレートの床で部屋を温めるヨガスタジオです。
よくある質問
気分が落ち着いたら薬を減らしてもよいですか
薬の調整は、皮膚の状態や治療の経過を見て主治医と決めます。Kabat-Zinn(1998)の試験も、光線療法を受けながら瞑想の音声を加える組み合わせで、治療を保った中での変化を見ています。気持ちが楽になったことは、運動を続ける際の大切な感想として伝えられます。診察では、気分の変化と皮膚の赤みやかゆみの変化を別々に話すと、今後の治療について相談しやすくなります。
汗をかくのが心配なら、運動を全部やめるべきですか
汗で刺激が出る場合は、まず室温や衣服、動きの強さを調整する方法があります。乾癬という病名だけで決めず、実際にどこがしみるか、何に触れると痛むかを確かめます。静かに呼吸へ注意を向ける時間や、皮疹を床に押し付けない動きも選択肢です。休んでも痛みが残るときや悪化が続くときは、参加を再開する前に皮膚の状態を診てもらいます。
白い皮膚が落ちるのが気になり、人前で動けません
乾癬はうつる病気ではなく、白い鱗屑が落ちることを本人の不潔さと結び付ける必要はありません。人目が気になるという負担は、Fortune(1997)が扱った生活の質にも関わる相談内容です。自宅で過ごす時間を選ぶ、衣服を替える場所を事前に確かめるなど、自分が安心できる条件を決められます。家族や指導者には、励ます前に何を手伝ってほしいかを聞いてもらうと、希望を伝えやすくなります。